「初めて指揮を取ったんだから、まあ仕方ないこともあるかもしれねえがよ。
それでも頭だと言いはるなら、此からの判断を誤ることはあってはなんねえと思うぜ」



いつになく真面目に言う原田。

怒りに落ち着きを無くしてしまうのは永倉の方で、意外にも普段落ち着きのない原田は冷静に状況を見ていた。



きっとこれはもう無理だな。


原田は重い息を吐いた。



「今更負けた戦のことで誰が悪いとか、ああしていればとか言ったところでもう遅いだろ。
俺達が言いたいのは此からのことだろおが、新八」

「…ああ、そうだったな。すまねえ」

「んで、俺達は会津に行く。近藤さん達が会津に行かねえというなら……これまでだな」



目を見開く土方。

その瞳に映る二人の顔は迷いがなかった。



そしてゆっくりと瞼を閉じた。




「それは、新選組を離脱すると言うことか?」

「ああ。俺達は此処で抜ける」

「今まで世話になったな」

「………」



近藤の返答を聞くことなく、二人は部屋を出て行った。



試衛館にいた頃から共にし、新選組の古参でもある二人とこんな別れ方になるとは思っていなかったのだろう、近藤は無言のまま二人がいた場所を見つめていた。


いつまでも、いつまでも。


心の中で何度も繰り返す。



ーーーー何を間違えたのだ、と。