「いやな、総司が明日俺に付いて来ると言うのでなー……」


ああなるほど、ね。


矢央の読みはこうだった。

今日沖田がおとなしかったのは近藤が此処に残っていたからで、そして明日近藤の出発に付いて行くためでもあったのかと。


「だから、もう大丈夫なんですよー。私も戦えるんです!」

「いやしかしだな…」


沖田に詰め寄られ困る近藤。

無理もない。
結核の症状が進んでいたのに治ったなんて嘘が通用するわけがない。


治ったのではなく一時的に治まっているだけなんだから。



「どうして駄目なんです?私は必要がなくなったということですか」



弱々しく俯いてしまった沖田を辛そうに顔を歪めて見る近藤を、その横で同じように切なげに見やる矢央。


「必要がないわけがない。総司が必要だから、生きていてほしいから連れて行くわけにはいかないんだ」



近藤の判断は正しいと思った。

沖田は今この時も少しずつ病が戻りつつあり、時々喉を詰まらせていたのを二人共見逃していない。



「……それでも私は近藤さんと」

「どこにいても、共に戦っていることには変わらない」



もう近藤は沖田を連れて行く気はないのだろう。

その声がそれを証明していて、沖田はたまらず部屋を飛び出してしまった。