守ってやらないとと思っていたが、案外守られているのは自分達なのかもしれない。
この屈託なく微笑む一人の女子に。
「ありがとな」
「ん?」
首を傾げる矢央の頬を指差し永倉も笑った。
「今言っときゃなきゃなんねえ気がしてな。お前がいてくれて、本当に良かったよ」
「………」
「うっしゃっ!!飲み直しだ。また暫く飲めなくなるだろうからな」
そこへ見計らったようにやって来た原田とまた飲み始めた永倉の横顔をボーッと見上げていた。
お礼を言われて、こんなに胸騒ぎがしたのは初めてだ。
ざわざわと落ち着かない気持ちを無理矢理抑え込もうと、矢央はまた手伝いに戻ることにした。
もうすぐ今日が終わる。
そしてポツポツと雨が降り始めた。
まるで矢央の不安を表しているようで、直ぐに目を逸らし足早にその場を去る。
「…明日が来なければいいのに、な」