総司さんが元気だと周りも明るくなるなあ。


クスッと笑う矢央の視界に沖田の洋装姿が映り込む。


近藤達と合流した沖田は、土方が用意していた沖田の服を渡されたらしい。


『近藤さんに頼まれてたからな』

なんて土方は言っていたが、矢央は土方が用意したんだと思っている。


そして土方の言葉を真に受けた沖田は直ぐに洋装に身を包むと近藤の下へ行き、子供のようにはしゃいでいた。


「矢央さんのおかげで本当に気分が良いんです!今なら新政府の奴らを片っ端から斬って斬って斬りまくれますよ!!」


……物騒すぎて何も言えないよ。



「…あ、総司さんも髪切ったんですね」

「はい。でもあれですね、すーすーして落ち着かない」


他の人と違い沖田が髪を結い上げていることはめったにない。

戦う時くらいだったので、殆どの時間は髪を伸ばしていたため誰よりも違和感があるのかもしれない。


その証拠に沖田は話しながら何度かあるはずのない髪を撫でようとしていた。



「新八さんも慣れないって言ってたなあ。でも軽くなって動きやすくないですか?」

「確かに。夏も涼しそうですね」



そう言って曇り始めた空を仰いだ。


朝は晴れていたのに、もう青は灰色に埋め尽くされてしまった。



「さて、と。そろそろ手伝いに戻ろうかな」


立ち上がり乱れた着物の裾を整える。

やっぱり男物の方が動きやすい。



「じゃあ私も近藤さんのところへ戻ります。矢央さん頑張ってくださいね!」

「はあい!総司さんは、あまり無理はしないように!」



沖田と別れた後は、またのぶの手伝いに動き回り酒を広間に運び入れた矢央は呼び止められた。