「惚れた女をわざわざ危険に晒したくねえんだよな、永倉は。まあ、俺もそろそろ限界だと思ってはいたがな」


チラリと永倉を伺うと顔を逸らし、ほんのり耳が赤くなっている。


「はっきりと言う。これから先の戦で俺達が勝てるかどうかは分からねえ。いや、負け戦続きになる可能性の方が高いかもしれねえな」


いくら新政府軍に対抗しようと洋式武器を入れようが、使い慣れていないのでは意味がなく、それに隊士の数も圧倒的に少ない。


簡単に負けてやるつもりもないし、どこかに勝算だってあるはずだと土方は諦めたわけではなかった。



「女のお前が俺達に着いて来るには、ここいらが限界じゃねえか。なあ、お前はどう思う」

「ーーー私は…」



以前のように上から怒鳴りつけるようなことはされなかった。

矢央の意見をしっかり聞くつもりなのか、土方も永倉もじっと待ってくれていた。



本心を言えば、最後まで共にしたい。

けれど矢央は見てしまった。


お華から受け継いだ未来を見る力で、彼等に触れこれから彼等が辿る道を。


そして思う。この先、新選組はそれぞれの誠を貫くためにそれぞれの道を歩むことを知ってしまい、正直迷ったのだ。


彼等の生き様を傍で見るばかりが全てじゃないのではないかと。




これ以上、土方さんを困らせちゃ悪いよね。


















「土方さん、私……新選組を出て行きます」