「矢央っ!矢央っ、しっかりしろ!!」


永倉の必死の叫びで目を覚ました矢央は、永倉の腕に抱かれて微笑んでいた。


大事なさそうだと判断し、永倉もホッと息をつく。



「強い風が吹いたとおもったら、お前急に倒れるから肝が冷えたぜ」


身体を起こし、ガクリと頭を下げている永倉に語る。



「お華さんが待っててくれたんです」

「お華?あいつ成仏したんじゃねえのか?」

「成仏していても、私とは繋がってるみたいですね。でも、もう会えないのかもしれないなあ」


見守ると言ってくれたお華。
それはもう何かあっても助けてはくれないのだろうなと。


パシッと気合いを込めて頬を叩いた。



「よしっ!私はまだ頑張りますよ!さあ、新八さん土方さん達のところへ帰りましょう!」

「お、おう」



何故か一皮向けたような矢央に僅かに疑問を抱いたが、まあ元気そうだし良しとした永倉は自分を置いて階段を降りて行く矢央の後を追った。



「矢央!お前帰り道分かってんのか?」

「……分かりません」

「だったら先に行くんじゃねえよ。ったく、ほら」



差し出された大きな掌を見つめ、目を細める。


ギュッと握り締めると、永倉もギュッと握り返してくれた。