『…山南さんまでッ? どうしてッ? どうしてこんなッッ!』


見られてしまった。

知られてしまった。


"芹沢鴨"暗殺計画の日、山南は最後の最後まで土方に他に方法がないかと訴えた。

しかし無いの一つ返事。


芹沢は悪党だった。

だが己にはない、人の欲望のままに生きている芹沢に多少なりと憧れたものだ。


どうにか生かし逃がす方法はなかったのかと、あの日からずっと今も考えてしまっている。


土方には薄々バレているのだろう。

山南を見る目に哀れみが混ざっていて、その目を向けられた日は必ずと言っていい。 あの日の夢を見るのだ。




「…さ…な…ん…山南さん!!」

「――――ハッ!?」


肩を揺すられ、山南は身体中に汗をかきながら飛び起きた。


「ハアッ―…ハアッハアッハアッ」

「山南さん? 大丈夫?」

「……ハア…フウッ…矢央、君か」

山南の部屋の前を通りかかった時、僅かに呻き声がし慌て戸を開けた矢央は、青白い顔に汗を浮かせ歯を食い縛る山南を見て驚き急いで起こした。


こんな山南は見たことがない。

穏やかで日溜まりのような山南が、険しい表情で髪を振り乱している。


「…君は乗り越えたのかい?」

「え?」


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