山崎の顔色はさっきよりも白くなっている。 吐く息も熱い。 「ありがとう…」 結局伝えたいのは、この一言だ。 いつもはその澄ました顔や吊り目が何を考えているか分からないのに、どうしてか今は分かってしまう。 「…間島…」 めったに名前を呼ばない山崎が穏やかな口調で呟き、震える手を矢央の頬に伸ばした。 山崎が辛くならないようにと、矢央は背中を丸めて触れやすくした。 「生きろ…生き抜いて…幸せになれ」