「…とりあえず今は会議中だ。外に出ていろ」


とは言われて仕方なく外に出た矢央だったが土方とちゃんと話が出来ないまま、鳥羽伏見の戦は始まってしまった。





ドドッーン!!



何度目になるか分からない砲火が高台にある御香宮神社から伏見奉行所に降り注ぐ。


大きな音にビクリと肩を震わせ空を見上げた。


夜になり暗いはずの視界が炎に照らされ明るい。



「本当に戦が始まったんだね…」



次々にやってくる怪我人は新選組だけじゃなく、会津や桑名の者もいた。

休む暇なく手当てをしていて、見知った顔が少ないことに少したけ安心する。


「間島、こいつを頼む」

「斉藤さん!?ああっ吉見さんですね?こっちに連れてきてくださいっ!」


斉藤は自分の隊の隊士に肩を貸し救護所へと運び入れた。


吉見の手当てを施しながら斉藤を見て、怪我をしていない様子にまた安心する。


「斉藤さん、今どういう状況なんですか?」


急いで出て行こうとする斉藤を引き止めるのは申し訳ないと思ったが、救護所では状況が把握しずらいのだ。

振り返った斉藤は「案ずるな」とだけ言って、また戦へと戻ってしまった。