このところ新選組はというより、近藤は何かと会津へ出向き話し合いに参加していて、近藤の穴を埋めるために土方は土方で大忙しだ。

誰の目から見ても土方の苛立ちや焦りが表情に出ていて、皆腫れ物を扱うように土方の怒りに触れないようにしていた。


それでも土方とて人間なので、誰もいない部屋にいる時たまに疲れた姿を見せることもあり、それを見つけてしまうのが何故か沖田なのである。



「ああ見えて総司は総司なりに心配してんだろ。だから元気付けようとしてんだろうが、もう少しやり方を考えてやればいいのによ」


背伸びをし立ち上がる永倉は、お供え物の饅頭を一つ手に取った。


「平助、一つ貰ってくぜ」

「あ、また!前もお供え物取ったでしょ!」

「いいじゃねぇか。一つくらいケチケチすんな」



仕方がないな、と溜息をついて、もう一度手を合わせる。



此処へ来る度、最近のことについて藤堂に報告している。


永倉と原田が騒いでいる隣で、静かに最近のことを思い返した。


十一月終わり頃、近藤が坂本龍馬暗殺の疑いをかけられ事情を聞かれたことや、凛とした態度で犯人ではないと言って戻ってきたこと。

そして近藤がいない間、此方も色々聞かれていた熊木だったが彼は宣言通り何も話すことなく自ら命を絶ったこと。



ーーーねえ、平助さん。
そっちはどうですか?元気に過ごしてますか?


山南さんや、お華さんには無事に会えましたか?


聞きたきことも聞いてほしいことも沢山…沢山あります。


新選組はあれから何かと忙しいみたいで、近藤さんは殆ど屯所にいなくて、土方さんは寝る暇も惜しんで仕事しています。


総司さんは、少し…体調がよくなくて心配だけど、山崎さんが付きっきりで看病してくれているし、軽口叩けるくらいには元気です。


斎藤さんは相変わらず何を考えているか分からないけど、最近は永倉さんと共に私に稽古をつけてくれます。


原田さんと永倉さんも相変わらず…と言いたいけど、やっぱり平助さんがいないと調子が狂うようで前に比べるとすっかり大人しくなりました。