少年は物心つく頃から、自分に起こる不思議なことに思いふける。

夢を見るのだ。

そこには知らない大人達がいて、大きな船を恐怖の眼差しで見詰める者達がいて、その船から降りた者達は自分達は違う身なりをしていた。


また夢を見た。


刀を持った男達が戦っている。
どうやら戦のようで、リアルな血の海に沈む死体に起きた時には汗でびっしょりだった。



それからも何度か夢を見るうちに、これはもしかしたらこれから先の出来事…予知夢と言うやつではないかと思ったのだ。


父の唯一の趣味が読書だったこともあり、父は沢山の古本を持っていて、少年も暇な時に本を読むことで読み書きや時代の流れを知っていく。


もしもあの夢が予知夢なら、それを利用すれば上手く歴史の中を生き家族が幸せになれるのではないだろうか。

幼く純粋な少年は、そう思うことで毎日の辛さを乗り越えようと頑張った。

見よう見真似で、枝を使い剣術の稽古をしていれば近所の子供達に笑われたが、そんなこと構うものかと夢中で腕を振った。