頭がふわふわする。

身体もあちらこちら痛むような気もして、なかなか重い瞼を上げられずにいた。


するとカキン!キンッ!と、刃物同士がぶつかる音がしたり、男達の雄叫びなども耳に入り、これはもしかして自分が帰る場所なのではと思った。



「油小路から隊士達が帰隊したおかげで、形勢逆転というやつか? なあ、伊東さんよ」



あ、これは土方さんの声だ。


“伊東さん”と言うことは、やはりあの後伊東は油小路同様に大勢を連れて新選組に奇襲をかけたのだろう。



「土方さん、永倉さんと原田さん! そして、矢央さんが、まだ帰られていません!」

「歳、山崎君の報告では油小路で永倉君達が隊士達を此方へ戻すために戦っていると、帰隊した隊士から聞いたそうだ!」

「…なら大丈夫だろ。 あいつらは、そう簡単にやられねえさ」


土方の声に不安は一切感じられなかった。


沖田や近藤の声も若干の疲れは見られたが、土方同様に不安の色は感じられなかった。


きっと信じているのだろう。


皆無事に帰隊することを。