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「ううっ…あ〜…うんうん…いや…いやいや…はあ…」
「……おい」
「ンあ?」
土方は放置するかしないか悩んだ結果、やはり声をかけてしまう己自身に心底同情してやりたい気分になっていた。
数分前、勢い良く土方の部屋の戸を開け飛び込んで来た矢央は、何を思ったか押し入れから掛け布団を取り出すと、
それにくるまり、何やらぶつぶつと呟いている。
これを放っておくのもどうなんだろうか、となり声をかけた。
「なんなんださっきから。 食い物にでもあたったか?」
「…そんなんじゃないヤイッ」
「やいって…だったらなんだってんだ」
ぶぅと唇を尖らせるので何かに腹をたてているのかと思った。
が、次は顔を蒼白にさせ左右にブンブンと振る。
「飯も食ったんだから、さっさと部屋戻って寝やがれ」
「あのぉ…土方さんって…す、す、す、す…」
「す?」
「好き……」
「お前みてぇなガキは御免だ」
「はあっ!? てかそうじゃなくてですねっ!」
顔を赤くし鼻息荒く何を言い出すかと思えば、なんてことはない告白だった。
と、勝手に勘違いする土方に、矢央は即座に否定する。
一度呼吸を整えてからにしようと決め、スーハーと深呼吸する矢央を白い目で見て溜め息をつく土方。
また面倒なことになる…。
残念ながら、土方の予感は大抵当たるのだった。
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