正午過ぎ、井上と共に屯所に戻り、もう一度井上に礼を言って別れると永倉を捜す。


何の用件か分からないが、自分から訪ねる方が怒られる可能性が和らぐような気がして、そこで怒られる前提なんだなと苦笑いした。



「だって怒ると怖いんだもーん。 て、部屋にはいないか」


捜していたのは墓参りに出掛ける前なのだから、永倉も朝の巡察は終わっているはずだ。

だから部屋にいるかと思ったのに、予想は外れ部屋はもぬけの殻。



「あ、間島さーん! 永倉先生が捜してましたよー」

「…ん? あ、市村君! そうみたいだね? だから私も捜してるんだけど、永倉さん何処にいるか知らない?」


大量の洗濯物を抱えて走ってくる市村を見て、一番隊に配属される前の自分の姿と重なり思わず笑ってしまう。

はあはあと息を切らせる市村は、顔を道場のある方へと向けた。



「永倉先生なら、今道場で指南役を勤めてますよ」

「そっか。 じゃあ、ちょっと見てくるよ。 市村君は洗濯頑張ってね!」

「はい!」


時間があれば手伝いに行ってあげようと思いながら、市村に手を振って道場へと向かった。