水遊びに夢中になりすぎて、茂が飛ばした水を思ったよりかぶっていた矢央。
その着物は水のせいで透け、運悪く本日着ていた着物が白だったためにおもいっきり身体が見えてしまっている。


「あー、やってしまった…」

「やってしまった。じゃねえよ! 矢央は女のくせに、恥じらいってのはねえのか!」


案外あっさりした言い方に永倉の方が慌ててしまっている。


そんな永倉を見上げるのにも疲れ立ち上がった矢央は、一応羽織で身体をすっぽり埋めながらあっけらかんと言った。



「晒巻いてるから、恥ずかしくはないですよ?」


この時代の人間と平成の世の人間とでは、かなりこの辺りの感覚は違うのだろう。

矢央にしてみれば、真夏に肌を露出した服を着ていても何ら違和感はない。

が、永倉達にすれば、女が肌を見せるのは風呂か好いた男の前でだけだろなんて思っていたが、目の前の疑うことを知らない眼を見ると怒る気も失せるというもの。


そこへ原田がにやっと笑い、二人の下へやってくる。



「矢央。 あんまり新八をひやひやさせんなよ? いくら男が俺と茂しかいねえっても、お前のそんな姿見せたくねえのが男心ってなもんだ!」

「さ、左之っ!?」


珍しく慌てふためく永倉を見て、原田は腹を抱えて笑う。
すかさずその原田の足を蹴るのは忘れない。