生温い風が髪を遊ばせる。

眼を細目、バシャバシャと水をかけあって遊ぶ矢央と茂を見て二人の男は微笑んだ。



「最近は島原にめっきり行かなくなったみてえだな」


また突然何を言い出す、と原田を一瞥すると原田はくくっと喉を鳴らす。


「だからなんだって言うんでえ」

「別に。 特に深い意味はねえよ」

「……あ、そ」


居心地悪くなって、もう一度庭に視線をやると永倉の眉間に皺が寄る。

なんだ? と思い、原田も庭へと視線をやると。



「ありや、女を意識してねえな」


呆れた声色と溜め息が隣からすれば、永倉も同感だと頷いて隅にやっていた隊服を掴み取って立ち上がる。

そのままスタスタと目的の場所まで歩いて、手に持っていた隊服から手を放す。



「…なっ!? なんですかっ? 暑いじゃないですか?」


水遊びに夢中になっていた矢央の肩にかけられたのは、永倉の隊服だった。


突然のことに驚き見上げれば呆れ顔の永倉と視線が絡み、暑いと言えば眉間に皺がよって、矢央は縮こまる。



「水遊びに付き合うのは大いに結構。 だがな、お前までびしょ濡れになってどうすんだよ。…はあ、透けてんぞ」


「…え? ああっ!」


睨み顔から、また呆れ顔に戻った永倉。