近藤から解散命令が出ると、巡察組と荷造り組に別れ慌ただしい屯所内。


矢央も沖田と別れ、西本願寺に来てから与えられた一人部屋へ戻ると荷造りを始める。


元々荷物は最小限にしていたこともあり、そんなに手間はとらないだろうから自分の分が終れば誰かの手伝いに向かうつもりだ。


荷造りを開始して暫くすると、壬生から此処へ引っ越しした時のことを思い返していた。


あの時は今回よりも大変だった。 なんせ荷造り期間はたった一日だったのだから。


だから皆で役割分担して頑張ったなあ、と思い返して作業を止めてしまう。


「あの時は、平助さんも斉藤さんも一緒だったなあ。 二人の荷物は服よりも本の方が多かったっけ」


ふと部屋を見回してみる。


壬生にいた頃は七人で寝床を共にしていて、それぞれのスペースなんてなく、冬は暖かいが夏は暑苦しくて堪らない。

けれどそれが酷く懐かしくて。


「広すぎるなあ」


小さく呟かれた声に誰の返答もない。


それも酷く寂しいものだ。


考えないようにしていても、こうした時はふと思ってしまう。

藤堂と斉藤にもう一度会いたい、と。



「…さっさと終わらせよう!」