「ねえ、僕と一緒に新撰組を抜けよう」

「え?」


突然思ってもみなかった発言に動揺する。


いつの間にか藤堂の肩を掴んでいた手を逆に握られ、戸惑いがちに揺れる瞳に見つめられた。




ーーー新撰組を抜ける?


今回の事は脱退ではなく分離だと主張した伊東により、藤堂達は切腹することはない。

だからきっと一緒に新撰組を出て行こうと言っているのだろう。




















「矢央ちゃん、僕は君が好きだ」



これまで何度も告白らしいことはあったが、矢央の眼を見てきちんと想いを告げたのはこれが初めてだ。


こんなことでもない限り、矢央に想いを告げられなかったかもしれないと藤堂は心の中であざけ笑う。




「伊東さんはね、矢央ちゃんが女だって気付いてたんだ。 それで、君がこれ以上危険な目に合わなくていいようにって計らってくれた」


伊東が何故女だと知っていたかというより、今はそれ以上を言わないでほしいと願う。


じゃないと。


「新撰組も御陵衛士も抜けて、僕と矢央ちゃんで平和に暮らせばいいって」


お願いだから、それ以上言わないで。


















「僕と夫婦になってほしい。 絶対に幸せにするから」