スクッと立ち上がり腰に手を当てながら、空いた片手で頭を無造作に掻き回す。

ぐしゃぐしゃになった髪を掴みながら、その先端を照れ隠しに見つめながら口を開いた。



「季節とかは関係ねぇと思うが、そうだな…寒くなるにつれて、もっと触れていてぇとは思うのかもな」

「「ふぅん」」

「"ふぅん"とはなんだ!? "ふぅん"とは!」


声を揃えた二人に、原田はバッと唾を飛ばす。


「いやぁ…あはは。 ねぇ、矢央さん、確証はないですけど、少なからず暑い季節よりは、寒くなる季節につれて、人の傍にいたいと思うのかもしれないですよ?」


半分に折った焼き芋の片方を、矢央に渡しながら "よ" をよたらと主張する。

食べないのかと尋ねると、食べきれないと苦笑い。


「…あふっあふっ。 そうなのかな? 沖田さんも?」

「私は……クスッ。 頬についてますよ」


慌てる必要もないのに慌てて食べる矢央の頬に手を伸ばす。

チョンッと触れた指先から、矢央の温もりを感じて心が温まった。


「そうですねぇ。 私は恋しく思いますよ」

「例えたばどんな時に?」

「やっぱ、人を斬った後には無性に会いたくなるよなぁ」

「ええっ、斬った後に直ぐは止めたほうが……」

「原田さんのも一理ありますが、私の場合は…その人を見つけた時ですかねぇ」


意味ありげに微笑んだ沖田に、矢央は大きな目をぱちくりとさせた。


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