男は藤堂たちの隙をつき逃げようとしていた。

それに気付いているのは矢央だけで、藤堂のしまったと言う声がした時には矢央はその男を一人追い掛けて行ってしまう。


「絶対逃がすかーっ!!」







見失った。

男と、その男を追った矢央を追い掛けていた藤堂だが日中の京の町は人が多くて見失ってしまった。


注意不足。 その言葉が脳裏を過り、歯を食い縛る。


自分が怪我をするならまだしも、矢央に危険が及ぶとなると自分の情けなさに拳を握る強さが増した。


「矢央ちゃんっ!」


ーーー頼むから無茶をしないでくれ。