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早くも時は過ぎ、季節は本格的な秋を迎えていた。
「平助が江戸に行って、もう一月経つのか」
「そういえば、謹慎が解かれた永倉さんも今朝江戸に行きましたよ」
「となると帰ってくんのに、そんなに日はかからねぇかもな」
もくもくと空に上る煙、その元になる枯れ葉の山を枝でつつく原田。
その隣にちょこんと屈む矢央は、原田の言葉に疑問を感じ問い返す。
「どうして分かるんですか?」
「新八の謹慎を解いたのは土方さんだろ。 その土方さんが、謹慎明け早々に新八を江戸へやるっつぅのは、近藤さんたちを早く連れ戻して来いっつぅことだよ」
隊士募集に江戸に向かったきり一向に帰って来る兆しがない近藤たちに業を煮やした土方は、江戸に詳しく昔からの知り合いである永倉を江戸へとやった。
原田でも井上でも良かったかもしれないが、気分転換もかね永倉にその役目を任せたのだろう。
「ここんとこ新八のヤツ元気ねぇしな。 久しぶりに慣れ知った江戸の空気に触れでもすりゃ元気になって帰ってくるだろうさ」
ズボッと枯れ葉の山に枝を突き刺し 「ほらよ」 と、矢央にある物をつき出す。
ほくほくと焼けた芋を見て、頬を赤く染める矢央。
「あ〜あ、でもどうせなら一日待ってれば永倉さんも焼き芋食べられたのにぃ…わっ、あっっ」
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