ーーーー


「それで、矢央は大丈夫なのか?」



巡察から戻ってきた原田、斎藤は藤堂から大まかな事情を聞き近藤の部屋に集まった。


隣の土方の部屋に矢央は眠っている。


その土方の部屋がある方の壁を見つめ、沖田は息をついた。


「意識を失った…ので、今はなんとも言えませんね」


「…それにしても、なんでああなった?」


永倉は今夜の見張り当番である藤堂に尋ねる。


永倉の隣でグッと手を握り、服に皺が寄っているのを黙って見つめていた。


「……分からない。 気づけば部屋が光って、それで、矢央ちゃんが……っくそ!!」


「ありゃ、ただの人間じゃねぇよ」


「と、言いますと?」


黙っていた斎藤は土方を見る。

土方は、熊木のやけに落ち着いた様子と、そして敵ばかりの屯所に軽く出入りできたことに、ただの侍ではないと読んだ。


「やはり、お華と同類なのか…」

「人間ではないと?」

「否、そこまではわからねぇ」


熊木が何者で、何の目的があって矢央を狙うのか。

そして、熊木の後ろには長州が絡んでいるのはどういったことでなのか。


分からないことだらけである。



「当事者がいない場で我々があーだこーだ話しても埒がない。 この事については、辛いだろうが彼女が目を覚ましてからにしよう」


話を纏めたの近藤。
近藤の言葉に渋々納得した面々は、近藤の部屋を後にし、それぞれの夜明けを待った。