何を言われるのかと、何故か緊張してしまった。

いつもなら、こんなどきどきは感じないのに可笑しい。


「……いえ、なんでもないです」

待ち構えていた矢央は、ガクッと肩を落とし、そしてホッと息をついた。

その様子をみたあと、沖田は顔を天井に向け、ゆっくりと瞼を落とし。


「少し眠ります」


と言って暫くしてから、スースーと寝息をたてる。


「……どうしよ、これ」


眠っているはずなのに、矢央の手を握る力は緩まない。

無理に外すのも悪いと思い、少しだけこのままでいることにし、空いている片手で布団をかけ直してやる。


久しぶりに沖田の眠る姿を見た。

池田屋事件以来、部屋が離れてしまったので、もう長い間共に寝ていない。


この時代に来た頃は沖田と藤堂に挟まれるようにして寝ていたものだから、最近その二人がいなくて両隣が寂しいものだ。


「今は永倉さんもいないし、私と原田さんと源さんだけだもんなぁ」


八畳の部屋を三人で使う今は、かなり広く感じた。


「……早く元気になって帰ってきてね」


眠る沖田に、そっと呟いた。


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