「熊木っ!貴様だけは許さんっ!!」


普段の優しい面影は何処にもない藤堂の目は吊り上がり、ただ一人、熊木を見据えていた。


「平助っ! どうしたっ…て、矢央っ!?」

「……矢央さんっ!!」



騒ぎを聞き付けた幹部達が次々に部屋に集まり、藤堂と睨み合う熊木、そして脅え震えたままの矢央の姿を見て一瞬動きが止まる。


「てめぇ、こいつに何をしやがった?」


最後に駆け付けた土方の顔は、まさに鬼そのもののようで、低く地に這うような声からは相当な怒りが伝わる。


「平助、絶対逃がすなよ」

「当たり前だろ、新八さん」


額に青筋を立て鞘から刀を抜いた永倉は、藤堂とは反対側から熊木に刀を向けた。


「矢央さんっ!? 矢央さん!?」


沖田は矢央を抱き起こし、乱れた衣服を整えるが、未だに震えは治まらず自分達が助けに来たことも気付いてなさそうな矢央を見て唇噛み締めた。





「土方さん、そいつ……殺していいですか?」