無理に寝ようとしても、頭がごちゃごちゃなままでは眠れない。

こんな時は夜風に当たり、眠気がくるのを待つしかないだろう。


「眠れぬのか?」

「…どわっ!?」


戸を開けると、思わぬとこから声をかけられ驚いた矢央は、壁にもたれながら刀を眺める斎藤を睨んだ。

何故こんな夜更けに斎藤がいる?


その疑問は、斎藤本人があっけなく答えてくれた。


「今宵より、間島に見張りをつけるそうだ」

「見張り?」

「誤解するな。 全ては間島のためだ」


斎藤は、矢央が変に勘ぐるのを止めさせようとして言ったが、矢央は素直に受け止める。


「ありがとうございます。
 私を守ってくれてるんですよね?」


最初の計画では、少し散歩でもしようかと思ったが、予定を変えて斎藤の隣に腰を下ろした。

物静かな斎藤の隣に座ると、チラッと視線を向ける。


「…狙われている自覚は?」

「う〜ん、正直ないですね」


特別何かあったわけでもないし、と呟く。

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