「こいつが未来から来ていると、知られているのか…?」
坂本を警戒しながらも、きっと坂本にも己の素性を話していると思った土方は、ぽかんとしている矢央を見下ろした。
「…恐らくな。 しかし、それを矢央は桂さんに話したのか?」
「え? ううん…」
顎髭を指で撫でる坂本は、桂に矢央を預けたことを後悔していた。
あの時は、桂に預けることが一番安全だと判断したが、後にこうなるとは思いもしない。
「私は、桂さんはちょっと…苦手だったから」
「そうか。 ならば…」
「それは問題だな」
坂本の言葉に付け足し、土方と目を合わせ両者は頷いた。
納得し合う二人の間で、分からずに首を傾げる矢央に二人は同時に口を開いた。
「誰かが、矢央の正体を知っている」
「え?」
「確率として高いのは、熊木って野郎か」
「不思議な能力ってのが、鍵を握っちょるかもしれんぜよ」
(なんかこの二人息が合ってきてる?)
本人を除け者にして話は進み、二人は一度間をおいて息を吐く。
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