藤堂は学がある。 だからか、物事を真面目に考えてしまうのか、それが良い事でもあるが、最近は悪い方へ出てしまっているのだろう。
―――チャ…プンッ…
注いだ酒を飲みながら、先程藤堂が見ていた方へと目を向けた。
矢央と土方は未だに賑やかで、傍らでは沖田がからかい、そこへいつの間にやら近藤まで加わっている。
楽しげな光景を見つめていた永倉は、飲み干した杯を手から滑らせた。
―――カラン……
「新八さん?」
「どうした、新八?」
目を見開く永倉を不審に思い、藤堂と原田は永倉を見た。
「…い、いや、なんでもねぇ…」
己は目に見えるものしか信じない性分だったが、今のはさすがに我が目を疑う。
と、目を擦った。
「歳よ。お前は矢央君が可愛いからと言って、それはいかん! いかんいかん!」
「そうですよ〜。 土方さんが、むちゃくちゃにするから、ほら。 矢央さんの頭…ぷっ…」
「鳥の巣って笑いたければ笑えっ!!」
「初めて見たが、噂通りの…面白さだな?」
「面白いなら笑えよ! あ〜もうっ! 最悪っ!!」
楽しげに騒ぐ四人の背後に、あんなことがなければ今その場にいたかもしれない男の姿が見えた。
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