あっという間に食べ終えて、健人はホットコーヒーを飲んでいる。 広香は、しんなりしてきたアップルパイを突きながら、ふいに閃いて健人に言った。 「わかった。ジャイアンだ」 「ん?」 「健人さん誰かに似てるなって、思ってて」 「ひでー。俺、ジャイアン?」 ショックなんですけど、と口をあんぐり開ける健人に、広香は付け加えた。 「でも、映画の時のジャイアンだよ。 男気あって、頼もしい」