結局。

好きだ、付き合おう、
そういう確かな言葉は言えずに。


矢楚は広香を帰してしまった。
お腹を空かせて広香を待つ柊太のもとへ。



矢楚が好きになった女の子は、気楽に恋愛を楽しめる環境にはいない。


矢楚は、気を付けなければ、と思った。



もし今、焦って恋人同士になれば、広香に無理をさせるだろう。



そう、自分達がうまくいくのに大事なのは、速度だ。

自分がどれだけ広香に合わせて歩けるかにかかっている。