矢楚は、広香の手の甲に自分の手を重ねた。 そして、ゆっくり、手を包み込む。 広香は、穏やかな顔をしていた。矢楚が触れたことを、友達からのなぐさめと受けとめている。 違うんだよ、広香。 矢楚は、つかんだ広香の手の平に、自分の頬を寄せた。広香の瞳に、驚きが広がる。 「冷たいね、広香の手」 矢楚は、広香の手に自分の熱い唇を押しあてた。 「矢楚」 矢楚をみつめる広香の目が、大きく見開かれた。 そうなんだ、広香。 これがオレの気持ち。