会場は、陶芸家やその関係者ばかりだ、みな講評を興味深そうに聞いている。
しかし当の広香には、お褒めの言葉も激励も、ほとんど聞こえなくなった。
木綿子の傍らに立つその男性以外、何も目に入らない。
おもむろに、その人は右手を左胸に当てた。
そして胸の上でこぶしにして、トントン、と心臓の辺りを叩く。
その胸から広香へと、記憶の川が流れ込んだ。
『広香、オレのこと、柊太と同じに考えてるでしょ』
生まれたばかりの一日、始まったばかりの恋。
『広香は、全身で褒めるんだから。
オレはコドモじゃないんだ、身がもたないよ』
この会場が、一瞬で朝日に輝く広場に変わる。
『敬意の表し方、教えてあげよう。ほら、右手を胸にあててごらん。真似してみて』
涙が溢れた。
矢楚――。


