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十五坪ほどの会場に、八十人ぐらいが集まって、定刻に授賞式が始まった。
主催者の挨拶や来賓挨拶が終わり、入選作品の講評が審査員側から述べられ、
入選者が次々に、賞状と記念品を貰っていく。
そのあとが、広香の作品の講評となる。
広香は、ざっと会場を眺めて、木綿子の姿を探した。
木綿子は、後方の入り口のドア前に立っていた。
携帯で話している。
広香の視線に気付き、小さく手を挙げた。
広香も、口の動きだけで、ありがとう、と伝えた。
十名の入選者が、前に並んで一礼をし退場した。
広香の胃がきゅっと締まった。
「続きまして、新人賞受賞は、月島広香さんです」
まばらな拍手の中、広香は、舞台に上がった。
舞台と言っても一段上がるだけの低いものだったが、緊張に足が震えた。
広香の絵皿が壇上に上げられ、審査員長が講評を行う。
本人が前に立って聞く必要があるだろうか。
広香は居心地の悪さに視線をさ迷わせた。
その時、木綿子が入り口のドアを開けるのが見えた。
もう、帰る時間かもしれない。
すると、開いたドアから、スーツを着た男性がするりと入ってきた。
同じようにスーツを着ていても、集まった人たちとは明らかに異なる種類の人間だ。
それは、掛けているサングラスのせいばかりではなく。
その長身と逞しい体が、この会場ではあまりに異質なのだった。
いや、この会場どころか、街中の多くの人に紛れてさえ、彼は目立つに違いない。
びくりと、広香の肩は震えた。
見間違うはずはない、けれど、広香はやはり自分の目を疑った。


