筋肉質だが肥えて丸みを帯びた師は、
慣れないスーツに、その体を押し込むようにして着ていた。
はち切れんばかりの師を見ると、昨日服を買うべきは師だったのではないかと広香は思った。
響子は笑いを堪えているような顔で師の隣に立っている。
髪をアップにし、麻のパンツスーツを颯爽と着こなしていて、さすがという感じだ。
「先生。ありがとうございます」
広香が頭を下げると、師は低く、「うん」と言っただけで、ギロリと辺りを見ている。
陽に焼けてバザバサになった白髪混じりの剛毛に、今日は櫛が入っている。
髪が乱れていない分、眼光が凄まじく目立っていた。
響子が、広香の作品見せてよ、と言って、三人で会場に入った。


