焼き物に使う粘土は、山から切りだした、いくつかの土を混ぜて陶芸家自らが作り上げるものだ。
絵つけの道具やそれに重ねる上薬も、師から受け継がれた良品や、陶芸家自ら試行錯誤でみつけたもので。
広香はいわば、選りすぐりの材料と道具を師より借りて作品を作っている。
何より、現代の陶工が簡便なガス窯を使っているのに対し、
広香の師匠の窯は、人間国宝だった師匠の父親から受け継がれた、
家ほどの大きさの、土づくりの穴窯(あながま)と呼ばれるものだった。
広香の師匠は、この窯で、薪を使って数日かけて焼き上げる、伝統的な製法を用いており、
広香の受賞作品もまた、師匠の計らいで師の作品とともにその窯で焼かせてもらったものだった。
そうした、いわば、一流の師匠のもとで働いていることで得られる恩恵が、広香の作品を優れたものにしていた。


