「広香。そんなにオトコを待たすもんじゃないよ。
この、いけず。
まさか、キープくんってことないよね、遠距離をいいことに答え先送りの、ズルズルな関係」
「キープくんって、懐かしすぎる。
もう言わないですよ。アッシーくんも」
広香は、結局指摘してしまった。
「私は、その人以外、好きになった人はいません。
その人のそばに行きたくて、ひたすら仕事をしてきました。
追われるみたいに」
「わかった」
太ももを叩いて響子は勢いよく言った。
「あんたをメキシコに連れてくのは、よすわ」
「なぜですか。
響子さんから学びたいです。
どのみち、私はまだ、彼には会えません」
「なに、新人賞獲ったやつが、よく言うよ。
私なんて、無冠だよ」
「私の実力じゃないです。
師匠の土や上薬を使わせてもらって、師匠の穴窯をお借りして焼いた。
何もかも、師匠のお力を借りたものです」


