「一人前の陶工になるまで、会えないよ」 「うん」 「五年はかかるよ」 「うん」 「十年かも」 「いいよ」 広香の嗚咽は、すすり泣きに変わった。 矢楚は黙って、広香の涙にくちづけた。 わずかに開いた熱いくちびるが、頬に吸い付くように。 広香の涙が、矢楚の中へ落ちていく。 「私は……」 矢楚がその先を促すように、首を傾げて広香を見つめる。 「私は……」