「だけど、私にはちょうどよかったな。
家の中でゆっくり食べるほうが、いい」
少し首を傾げて矢楚は広香を見た。
「少し、疲れてるね」
さっきまで並んで立っていた台所。
矢楚は、全身に力がみなぎり、且つしなやかで。
一日の始まりのように、微塵の疲れも滲んではいなかった。
広香が昼寝をしている間、砂浜をランニングしていたというのに。
「私、もっと体力つけなきゃ。陶工ってね、山に入って粘土を切り出したりもするの」
矢楚は、少しの驚きを顔に走らせる。
以前は、もっと表情が豊かだった。
感情がダイレクトに表に出ないだけで、随分大人に見えるものだ。
知也も割とポーカーフェイスだが、矢楚に比べれば少年のようにあどけない。


