夕陽が落ちる前に、木綿子たちはタクシーで港へ出発した。 広香は矢楚に誘われて、古い城跡を散策することにした。 車で常緑樹のリュウキュウ松の林を抜け、小高い丘に立つ城跡をめざした。 約五百年前に建てられたもので、城壁しか残っていない。 白い石灰岩で作られた城壁は、流線型のこじんまりとした作りで、 茜色の空の下、淡いピンク色に染まっていた。 城壁に上り、彼方の海を眺め、互いの近況を少しだけ話した。 あとはただ、大きな夕陽が海に入っていくのを見届けた。