「俺はさ、救急救命士になるよ。
ま、早くて三年も先だけどさ。
今にも死にそうな人んとこに駆け付けて、死なせないために全力を尽くす。
それはさ、助ける、って、俺が死なせないぞって、駆け付けた先で約束するようなもんなんだ。
果たせないことだってあるさ。
だからって約束しないなんて、あるか?
全力を傾けてやる気持ちがあるなら、約束していいんだ。いくらだって。
その約束が俺を奮い立たせて、相手を生かすことも、あるだろ。
だからさ、広香。
……ビビるなよ」
知也が何を言おうしているのか、それは明確だった。
広香は、揺さぶられた。
それは、この旅で見た矢楚のどんな姿よりも、
広香の決意にぐらりと振動を与えた。
知也は、広香の揺らぎをみとめると、にやりと笑っていつもの冗談をまとう。
「お〜、カッコいいな、俺。感動しただろ、おまえら。木綿子、惚れるなよ」
「カッコよかったよ、初めて、カッコよかった」
木綿子が笑った。
知也が、初めてってなんだよ、とクッションを木綿子に投げた。


