うつ伏せになるよう促され、広香はありがと、と従った。
背中をつよく撫でる木綿子の手。
「あ、疲労たまってるね、血の流れをよくしてあげる」
「木綿子、上手だね」
「でしょ〜。ね……、広香」
「ん?なあに」
「あのネックレス、してないね。毎日つけてるのに、なんで?」
「うん……持ってきては、いるよ」
「へぇ。二年以上、あれ外したの見たことないのに。やっぱ、矢楚と関係あり?」
「あれ、ね。高校に入学する前に、矢楚がくれたものなんだ」
「そっか。
で、しなくていいの?隠しとくの?」
「矢楚の前であれをすると、意味が変わってしまうから」
「意味。好きだから、でしょ」
「好きだから大切にしてるけど。
矢楚の前でネックレスしていたら、好きですって告白してることになる」
「喜ぶんじゃない?
分かってるでしょ、この旅行だって広香のためだよ、矢楚、全部、広香のためにやってる。
なんかさ、好きを超えて、愛さえ感じるよ」


