矢楚の中でグラグラと煮詰まっていく性の衝動は、次第に、月島広香に向かっていった。 矢楚と広香は、小六に知り合って以来、親しく会話を交わす間柄だった。 広香は、小柄でほっそりとしていて、小さく美しい輪郭のなかに、大きくはないが円らで濡れたように輝く目、こじんまりとした鼻、 そして唇だけは薔薇のように華やかに、すべてが調和し配置されていた。 太陽のような華やかな美人では無いが、月のように清らかで澄みきった美しさを持っている。