いつものように、しんみりした空気を知也が打ち破る。
伸びをして、真後ろを向いて、海に向かって叫んだ。
「とうとう、そっつぎょうだー!」
「もう〜耳が痛い」
木綿子の苦情を無視して、知也は海を指差した。
「泳げそうだよね」
「日差しは強いけど、風があるから、冷えちゃうよ」
「だから、寒中水泳ですよ」
知也は勧誘するように矢楚の肩を叩いたが、
体を冷やすと故障の原因になる、と断られた。
替わりに。
矢楚が提案した。
「今夜はビーチで花火をしよう。明日は、ガラスボートに乗ろう」
木綿子と広香は、わーっと喜びの声を上げて顔を見合わせた。
俺は、泳ぐけどな。知也はそれでもつぶやいた。


