「これがタコライスか」
プラスチックの折り箱を開けて矢楚がつぶやく。
ご飯の上に、スパイシーな香りの挽き肉がのせられ、
その上にたっぷりのチェダーチーズ、同じく千切りのレタス、
さらに細かくきざまれたトマトが散らされていた。
「これを上にかけるんだよ」
木綿子がこぶし大の容器に入った真っ赤なサルサソースを配った。
「辛そう」
広香がつぶやくと、知也がそのサルサソースを自分のタコライスにたっぷりかけて言った。
「それほどじゃないよ、トマトの酸味のほうが強い。
レディたち、海が見えるほうに座り給え」
矢楚が海を背に座った。
ありがとね、と木綿子も腰掛ける。
広香は矢楚の向かいに腰掛けた。
知也は早くもひとさじめを口に運んだ。
「ウマ!修学旅行で食ったやつと全然違う」
「もう、いただきますくらい、言いなよ。
いただきまーす……あ、ほんと。
挽き肉しっとりでチーズが濃厚。これも矢楚情報?」
矢楚はうなずき、一口たべると、うまいね、と言った。
広香も思ったよりあっさりとして美味しいと感じた。
レタスとトマトとサルサソースの為せる業だろう。


