高校生活は、残り二ヵ月を切っていた。
広香は弟子入りする工房も決まり、
木綿子は、スポーツ推薦で体育大学に合格していた。
チアリーディングの世界大会にも出場している、名門大学だ。
知也は、救急救命士をめざし、地方公務員試験対策を行う専門学校へ進学が決まっていた。
進路も決ってのんびり過ごした年明け、知也から卒業旅行の話が出た。
大学に進む木綿子以外は、卒業旅行をする機会は、もうないだろうから、と。
公務員の専門学校がどういうところか知らないが、
きっと、それは広香のために付けた理由だと、広香は思った。
中学の修学旅行を棒に振った広香は、
高校の修学旅行も金銭的問題で断念した。
知也も木綿子も、一足先に社会人として働きだす広香に、
友達との旅の思い出を作ってあげたいと考えたようだ。


