小柄な広香には、短い髪のほうが似合う。
自分でもそれは分かっていたけれど、
もう何年も髪を伸ばしたままにしていた。
短い髪は、頻繁に美容室で整えなくては見栄えが悪くなるから。
仕事と、修練と、自身の作品づくり。
もともと体力のない広香には、職人としての日々は過酷なもので、
まめに美容室に通うような余裕はなかった。
もう五年くらい、長い髪を一つに結ったり、お下げにしたりが、広香の定番の髪型だ。
久しぶりに短く切りたい。
がむしゃらに走ってきたこれまでとは、
少し違うスピードで歩きだすきっかけに。
だって、
もういいよね。
まだまだ、陶芸の道では雛のような私だけど。
新人賞を取れたことで、あの約束は、果たせた気がするから。
目を閉じた。
湯のもたらす心地よさの中で、広香の魂は、あの日の空と海の中を泳ぎはじめた。


