背後から近づく気配。
寄り添うように、広香が矢楚の傍らに立った。
こちらを一心に見つめているのが目の端に映る。
こんな自分を晒すことが、辛かった。
すべてを打ち明けるつもりで来たけれど。
こんな形で知られるとは思っていなかった。
それでも、搾り上げるような痛みに飛び込むように、矢楚は口を開いた。
「亜希。あれは全部、オレの責任だよ。
ごめんね、そう言わなきゃいけなかった。
でも、会えなかった。話せなかったんだ」
あの日、
父が観ていたスーパープレー集。
着ていた春色のシャツ。
どれだけ父が亜希を愛していたか、オレはあの時気づいたのに。
不道徳だからという一点で、無慚に引き裂いた。
それが、親孝行と信じて。
「四十九日も終わったのに、オレん中では何も終わってなくて。
でもそんなの、亜希を苦しめたことの言い訳にはならないよね。ごめん。
ごめん、としか、言えないけど」


