いつの間にか、グラウンドから聴こえる音楽が変わっていた。
「あ、フォークダンス始まった」
木綿子がかすかに響く音に耳をそばだてたとき。
その肩ごしに人影が見えた。
十メートル程離れた木立の陰で、こちらを見つめて立っている。
スカートが風をはらみ、長くまっすぐな足が露になる。
亜希。
いつから、そこにいた?
矢楚が見とめたのを合図に、亜希は木陰から数歩進み出た。
「頭にくる」
柴本亜希の第一声は、広香たちを驚かせ、矢楚の胸には矢のように刺さった。
「柴本さん」
広香と木綿子が振り向き、全員が柴本亜希と対峙した。


