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「え……?レアルのユースに留学、ですか?」
練習後、本郷監督に呼び出され、コーチら数人が同席するなかで、スペインのレアルマドリードが保有するユースチームへの留学を打診された。
本郷監督は、会議テーブルの向こうでコーヒーを手に矢楚を眺めた。
「藤川、スランプだろう。
プロ契約して一ヶ月くらいだし、ユース時代に帯同されていた頃とは、重圧が違うのはもちろんだがな。
しかし、こうもミスばかりだと、チームからの信頼も失う。
しかもな、こういうものは、ほっとくと長引くことも多い」
返す言葉が無かった。
今朝広香と話せて、矢楚はすっかりスランプから抜けた気になっていた。
しかしチーム練習に参加してみると、結局もとのままだった。
足の角度、タイミング、重心、数え上げたらキリがない。
わずかなズレとブレ。
スランプなどこれまで無縁だった。
ボールに、体が自然に反応して見事な軌跡を描いた。
今ではPKすらうまく入らない。
キーパーに弾かれるならまだいい。
的外れにゴールポストを越えていくシュートの情けなさ。


