広香は胸の痛みにつき動かされるように、前に立つ長身の矢楚に近づき、力づけるように傍らに立った。

月の光を浴びる矢楚の横顔は青白く、ギリシャの彫刻のようだ。
それはあまりに痛々しい美しさで、絶望と苦悩を司る神のようだった。

巨大な運命の手が延びてきて、広香の目の前で矢楚の魂を押しつぶす。


ああ、どうか。
矢楚をこれ以上、苦しめないでください。

彼こそ私の希望の光り。
導きの一等星なのです。