沙与は激昂している。
「死に方まで、身勝手なんだから!
車で海に飛び込むなんて。
死ぬんなら車を売って葬式代ぐらい残しとけよ!
それが何?
港につっこんだ車を、誰が引き上げるの?誰がその車を処分するの?
こんな後始末、ふざけんな!」
美鈴は力なく返した。
「こんな時にお金の話?止めてよ」
「金がかかるのよ、生きるにも、死ぬにも。
それが現実なの!
わかった?
弱くて、身勝手だから、あの男は死んだの。
ここにいる誰のせいでもない!
わかったわね!!」
沙与は全員を睨み付けた。
美鈴は無言で二階の部屋へ走っていく。
力いっぱいにドアを閉める音が階下まで響いた。
「銀行でお金、下ろしてくる」
沙与はそう言って、カバンを掴むと家を出ていった。


